多田正大先生引退慰労会
[2026.03.22]
金曜日(春分の日)、祇園で多田正大先生の引退慰労会を行いました。
勤務医だった頃、日本の消化管診療は「東の長廻、西の多田」と言われ、多田先生はまさにその一角を担い、時代を牽引されていました。
若かりし頃の私がいた神戸には身近に「この先生だ」と思える消化管専門医がおらず(今は違いますが)、京都第一赤十字病院におられた先生に無理にお願いして症例読影会に参加させていただいたことを、今でも昨日のようにはっきり覚えています。
鋭い眼差しと、紙背に徹するような集中力。
あの場の空気に触れ、「世界をリードする日本の消化管診療とはこういうものか」と強く感じたものでした。
約20年前、医学書院から下部消化管のアトラスを編纂する機会をいただき、多田先生を中心に、清水誠治先生、大川清孝先生とご一緒させていただいたことは、私にとって大きな転機でした。本はありがたいことに広く読まれ、中国語や韓国語にも翻訳されました。
今回の会では、近況を語り合ううちに話題はあちこちに広がり、ふとした沈黙さえも心地よく感じられる、そんな時間でした。数十年の歳月を静かに振り返るようなひとときでした。
「目が見えにくくなって、内視鏡が重くなってきたよ」
そう穏やかに話される多田先生の表情と、時折見せてくださる満ち足りた笑みを拝見し、この会を開いて本当によかったと感じました。そして、今の自分の医療に対する姿勢は、この方に導いていただいたものだと改めて思いました。
伊藤ダイニング京都(https://itoh-dining.co.jp/kyoto/index.html)のお料理も素晴らしく、祇園の夜はやわらかな心地よい風に包まれていました。

